「心の健康」の「心」とは何かです。
心を見た人がいません。心は身体のどこにあるのか分からないからです。
その心には、二つの役割があるようです。
一つ目は、何かの刺激によって、喜怒哀楽などを感じる、想う、知る、考える、選ぶ、意識する、行動するなどの原動力となる働きです。
二つ目は、経験を積むことによって蓄積する働きです。
今から500年ほど前に、天下の大泥棒・石川五右衛門が読んだという辞世の歌があります。
『石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ』です。
真砂(まさご)は、海辺に見渡す限りある砂のことです。
600年ほど前、一休禅師が子供の頃、ある人に呼ばれて、お屋敷に伺ったときのことです。家の前に小川が流れて、橋が架かったいました。橋の脇に「この橋を渡るべからず」と札が立っていました。一休さんは、すたすたと渡ってしまったのです。
招いた人が、一休さんに「立て札」を見たかと、尋ねました。
一休さんは、「見ました」と答えたそうです。
招いた人は、「なぜ、橋を渡ったのか」と尋ねると、
一休さんは、「端を渡ったのではなく、真ん中を渡ったのです」と答えたとか。
「心の健康」の心は、心の持ち方によって健康に影響することになります。その根底は、一休さんのようになりたいものです。