1. 「履き物を揃える」の詩
「履き物を揃える」の詩は、長野市にある禅宗の円福寺の住職だった藤本幸邦(ふじもと こうほう)さんが作ったものです。
この詩が作られた時代背景は、戦後、藤本さんが寺で預かっていた孤児たちが玄関で履き物を脱ぎ散らかされているのを見たことがきっかけだったそうです。
藤本さんは、禅宗の教えである「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」を、子どもたちにわかりやすく伝えるために「履き物を揃える」詩を作ったとも伝えられました。
詩の全文は以下の通りです
はきものを そろえると 心もそろう
心が そろうと はきものがそろう
ぬぐときに そろえておくと
はくときに 心がみだれない
だれかが みだしておいたら
だまって そろえておいてあげよう
そうすればきっと
世の中の人の心も そろうでしょう
2. 「脚下照顧」とは
脚下照顧とは、「自分の足元を照らし顧みる」ことで、自分自身の在り方や現状、心の状態を見つめ直す、これらを踏まえて新たに生きることと言えます。
自分の生き方だけでなく、企業の持続可能性(サステナビリティ)も脚下照顧の教えを繰り返すことにより過去→現在→未来につながります。さらに投稿済みの不易流行とも関連します。
このような意味から、「履き物を揃えよう」と言う標語が生まれ、前項のような詩が作られました。
履き物を揃えるという小さな所作に、心を込める意味も含まれていると思います。すなわち、小さな事にも真心を置くことが大切でしょう。
履き物は、自分の履き物だけでなく、他人の履き物、トイレのスリッパ、便器の汚れなどにも適用を広げられます。
3. 「脚下照顧」を人生に活かすには
いくつか挙げてみます。
① 「自分の足元を照らして顧みる」
他人に対して理屈や文句を言ったり、遠くの理想ばかりを追い求めたりする前に、まずは自分自身の行いや心のあり方、今の立ち位置をしっかりと見つめ直し、反省することです。
② 「足元に気をつける」
「悪口、愚痴、不平不満」を言わず、日に日に新たに生きることです。