25-13 六義園のしだれ桜

1. 六義園のしだれ桜
 先日(3月26日)、東京都文京区にある六義(りくぎ)園のしだれ桜を見に行きました。
 この巨大な桜の大きさは、高さ約15メートル、幅約20メートルあるそうです。
 満開に近い状態です。写真を撮る人が多く、近くでは撮れませんでした。
 桜の時期は、夜にライトアップしてくれるそうです。
 樹木は、まだ枯れ枝が多く、さみしいです。

 

2. 六義園の特徴
① 六義園は、江戸時代を代表する大名庭園です。
 江戸幕府五代将軍・徳川綱吉の側用人だった大名・柳沢吉保が、1695年(元禄8年)に造った庭園です。当時は、この場所は武蔵野の原野で、庭園を開拓したものです。
 江戸時代の面影を残す庭園として、国の特別名勝に指定されています。
 文京区には大名庭園として、水戸光圀が造った小石川後楽園があります。

② 六義園の構図は、回遊式築山泉水庭園です。
 大きな池「大泉水」を中心に、築山・峠・樹木・橋・休憩所などを配置し、園内を回遊しながら景色を楽しめます。なお、当時は住居もあったそうです。
 大泉水からは、見る場所によって異なる景色を楽しめます。池の水面に映る景色もいいです。

③ 多くの景勝地を凝縮して配置されています。
 柳澤吉保は和歌に堪能であり、和歌に詠まれた名勝や紀州和歌の浦の景勝地など「八十八境」を点在させています。

④ 四季折々の景観が楽しめます。
 春のしだれ桜、ツツジ、秋の紅葉など、四季を通じて一年中美しい景観を楽しめます。

⑤ 都会のオアシスを味わえます。
 都会の喧騒の中から隔離され、豊かな自然に囲まれた静かで落ち着いた空間を提供してくれます。ゆっくり腰掛ける場所は少ないです。

3. 六義とは何か
 庭園の名称の六義について調べてみました。
 2500年以上も前の書物に「詩経」があります。詩経は、中国最古の詩集で、詩の分類を、内容別に「風・雅・頌」と表示法の「賦・比・興」の6つ分けています。

3.1. 内容別の分類
① 風(ふう)は、各地の民謡を集めたもので、人々の生活や感情の歌
② 雅(が)は、宮廷と貴族がよんだもので、政治と儀式に関する歌
③ 頌(しょう)は、神を祭り、先祖の徳をたたえる歌

3.2. 表示法の分類
① 賦(ふ)は、事柄をありのままによんだ歌
② 比(ひ)は、比喩を用いてよんだ歌
③ 興(きょう)は、何かの事柄に刺激を受けてよんだ歌

 この六義は、日本の「古今和歌集」などにも応用されているそうです。

3.3. 詩経の名言
 現代にも適用する素晴らしい言葉が、詩経の中にあります。それを二つ紹介します。
① 切磋琢磨
 切磋琢磨(せっさたくま)の原文は、「如切 如磋 如琢 如磨」です。この読み方は、切(せっ)するが如く、磋(さ)するが如く、琢(たく)するが如く、磨(ま)するが如く」です。
 「切磋」は、象牙や骨などを切り、研ぐことです。
 「琢磨」は、玉や石などを打ち砕き、磨き上げることです。
 これらの行為から、切磋琢磨は学問や技芸を磨き上げる意味となります。

 類似した言葉として、詩経と同じ頃の「礼記(らいき)」に、「玉琢(みが)かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず」があります。

3.2. 他山の石、以(もっ)て玉を攻(おさ)むべし
 この言葉は、他の山の石も、自分の玉(能力などを)を磨くのに役に立つということです。
 他人の言動でも、自分を磨く材料となります。
 なお、同様な言葉が日本にもあります。「人の振り見て我が振り直せ」です。