25-19 パーキンソン病と認知症と物忘れ

1. 年金の受取額

 今月は六月。偶数月の15日に「年金の控除後振込額」が銀行口座などに振り込まれます。
 年金から天引きされる控除は、「介護保険料額」、「後期高齢者医療保険料額」、「所得税額および復興特別所得税額」、「個人住民税額および森林環境税額」の4つです。

 物価高が続く中で、「年金の控除後振込額」がほとんど増えません。明るい希望が見えませんね。
 狂歌を一首作りました。
 『年金で 暮らす人には 耐えがたし
  終わりなき世の 物価の高騰』

2. パーキンソン病と介護法
 近所の友人が、パーキンソン病になり、歩行が徐々に難しくなりました。
 その後、介護度が進み、昨年(2024年)の10月に遠方の介護付き老人ホームに入りました。ちょこちょこ会えなくなり、寂しい限りです。

 介護保険法という法律があります。この法律の「第五条の二」に、認知症の状態を示されています。
 認知症について、「アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう」とあります。

3. パーキンソン病と認知症の対比
 高齢者に多い症状のパーキンソン病と認知症(昔は痴呆症とか、ボケると呼ばれていた)の違いを大雑把に対比表にしてみました。

項目 パーキンソン病 認知症
1.共通の特徴 脳に関する神経変性疾患症状で、進行性があり、高齢者に多い
2.主な症状 運動機能の低下に伴う症状 日常生活に支障をきたす症状※②
3.症状の内訳 最初は片側の手足に現れ、徐々に全身に広がっていくのが特徴 ①運動症状 ・手足の震え ・筋肉の硬直 ・動作の鈍さ ・転倒しやすい ・すり足、小刻み歩行 ②非運動症状 ・うつ ・嗅覚障害 ・痛み ・睡眠障害 ・便秘など ①中核症状(認知症)※① ・記憶障害 ・見当障害 ・実行機能障害 ・失行 ・失認 ・失語 ②行動・心理症状 ・徘徊  ・妄想 ・幻覚  ・不安・焦燥 ・食行動異常 ・睡眠覚醒リズム障害 ・介護抵抗 ・暴言・暴力・攻撃性
4.原因 脳の神経伝達物質ドーパミンが減少する神経変性疾患 脳細胞が壊れ、認知機能が低下する神経変性疾患※②
5.死因につながる合併症 ・誤嚥性肺炎 ・脱水、栄養障害 ・感染症 ・腸閉塞 ・誤嚥性肺炎 ・老衰 ・呼吸器疾患、循環器疾患、がん ・転倒による骨折・打撲
6.予防 ・確実な予防法はない ・生活習慣をかえることで、症状の発生を遅らせられる

※①の説明
・記憶障害:情報が正しく思い出せなくなる
・見当障害:場所・時間・季節・曜日がわからない
・実行機能障害:段取り・計画がたてられない
・失行:服の着方や、道具の使い方がわからない
・失認:物や相手がわからない
・失語:物の名前がわからない

※②の説明(主の認知症)
①アルツハイマー型認知症(一番多い認知症)
症状:「いつ・どこで」という出来事の記憶が低下し、出来事全体を思い出せなくなる。
原因:脳内に異常たんぱく質(アミロイドβたんぱく質)が蓄積し、脳細胞が壊れて脳が萎縮する。

②脳血管性認知症
症状:脳の損傷を受けた部分の機能が失われ、「まだらぼけ」の状態になる。
   片麻痺、嚥下障害、言語障害など身体症状で、進行するのが特徴。
原因:脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患により、脳細胞の働きが失われる。

③レビー小体型認知症
症状:うつ症状、もの忘れ、幻視の症状がある。
   手足の震え、筋肉の硬直などの症状、転倒を繰り返すことが多い。
原因:脳内の「レビー小体」の蓄積による。

④前頭側頭型認知症
症状:こだわりの繰り返し、我が道を行く行動、抑制のきかない行動、食行動の異常などの症状。
   言葉が出ない「失語」の症状がある。
原因:脳の前頭葉や側頭葉の萎縮による。

4. 忘却について
 自分の祖母は82歳で亡くなりました。自分をいろいろな所に連れて行ってくれ、毎日一緒に寝ていました。祖母の物忘れの記憶はありません。
 親から、今日から祖母と一緒に寝られないと言われてから半月後に亡くなりました。

 祖母が亡くなってから、間もなく、NHKの夜のラジオドラマ「君の名は」放送が始まりました。冒頭に次の言葉があったことを覚えています。
 「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ
 放映されている時間帯は、女湯が空っぽになったと言われるほど、人気があったそうです。
 この忘却は、過去にあったことを忘れてしまうことで、物忘れの一部です。

5. 加齢・老化と認知症の物忘れについて
 高齢者に多い物忘れについて、加齢・老化と認知症の違いを大雑把に対比表にしてみました。

項目 加齢・老化の物忘れ 認知症の物忘れ
1.原因 生理的な老化現象 思い出す脳機能の障害
2.自覚の有無 忘れていることに自覚がある 忘れたことに自覚がない
3.忘れる範囲 体験・出来事の一部 体験・出来事の全部
4.思い出す可能性 ヒントがあると思い出せる ヒントを与えても思い出せない
5.日常生活への影響 ほとんどない支障ない 具体的な支障が出る
6.進行速度 進行が緩やか 進行が比較的速い
7.付随症状 ほとんど無い 判断力低下など多くの症状が現われる(3.項の表参照)