26-9 噛む力と健康長寿の関係

  • 上の写真は、東京都足立区と埼玉県八潮市の境に垳(がけ)川があり、足立区側に川沿いの神明六木遊歩道

 僕が子供の頃、サーカスで女の人が天井から下がったロープの先を口に加えて、自分の体を回していたのを見ました。すごいと驚いたことがあります。

1. 噛む力とは
 噛む力は、咀嚼力(そしゃくりょく)、咬合力(こうごうりょく)と呼ぶこともあるそうです。
 噛む力は、歯とあごの筋肉とが協力して、食べ物を細かく砕きます。頭を少し前に傾けると、飲み込みやすくなります。
 入れ歯の人は、安定剤でしっかり固定しますと、食べ物をきちんと噛むことができます。

2. 噛む力が大事な理由
2.1. 消化・吸収を助ける
・ よく噛むほど唾液が増え、消化酵素(アミラーゼ)が働きやすくなる。
・ 胃腸の負担が軽くなり、腸内環境も整いやすくなる。

2.2. 生活習慣病の予防
・ 噛む回数が増えると満腹中枢が刺激され、食べすぎを防げる。
・ 結果として肥満や糖代謝の乱れを抑えられる。

2.3. 姿勢・バランスの安定
・ 噛み合わせがしっかりする、首・肩の筋肉のバランスが安定する。

2.4. 脳の活性化
・ 噛む刺激は三叉神経を通じて脳に伝わり、認知機能の維持やストレス緩和(セロトニンの分泌など)に役立つ。

2.5. 発音や顔の形の維持
・ きちんと噛めると、発音しやすく、顔の形が維持されます。

3. 噛む力を維持するための意識
3.1. 「まごわやさしい」などのように調整のとれた食材を取り入れる
 これは、おかずとして「ま」は豆・豆製品、「ご」はごま、「わ」はわかめなどの海藻、「や」は野菜・根菜、「さ」は魚・肉・鶏卵・乳製品、「し」はしいたけなどのきのこ、「い」は芋の食材です。適度な弾力や繊維質がある食材は、自然と噛む回数を増やしてくれます。

3.2. 一口30回を意識する
 一口に噛む回数を増やすことで、顎の筋肉(咬筋)を鍛え、唾液の分泌も促進してくれます。
 むずかいしいです。僕は一度もしたことがありません。

3.3. 左右バランスよく噛む
 片側だけで噛む癖がつくと、顎関節症や顔の歪みの原因になるため、意識して両方を使うことが大切です。

4. あいうべ体操
 僕は歯周病があり、定期的に歯科医に通っています。この歯科医から「あいうべ体操」を教わりました。この歯科医は、小学校の校医もしています。口呼吸や歯周病の生徒が増えていることに驚いているそうです。

4.1. あいうべ体操のやい方
 あいうべ体操は、次の4つの動作を繰り繰り返します。声を出しても出さなくてもかまいません。
① 「あー」と普段より口を大きく開く。
② 「いー」と普段より口を大きく横に広げる。
③ 「うー」と首に筋が張るくらい、口を強く前に突き出す。
④ 「ベー」と舌を口の外に突き出して、さらに下に伸ばします。
 上記の①~④を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます。
 僕は、食事をする前に「あいうべ体操」を10回しています。

 テレビで見たことがありますが、ある老人ホームでは食事をする前に全員で「あいうべ体操」をしていました。

4.2. あいうべ体操の効果
 「あいうべ体操」の考案者は、2006年頃福岡のみらいクリニックの今井一彰院長だそうです。子供達の口呼吸を治し、鼻呼吸に切替えることでした。「あいうべ体操」は、次のような効果があるそうです。
① 「あ」はアトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気
 口呼吸は、慢性扁桃炎を引き起こし、鼻の周りのリンパ組織が免疫異常を引き起こして、アレルギー発症をおこします。

② 「い」はインフルエンザなどの呼吸器の病気
 口呼吸は、乾いて冷たい、異物が濾過されていない空気を体の中に入れ込んでしまいます。これがインフルエンザや風邪の発症に大きく関係しています。
 気管支喘息でも、気道の過敏性が高まり冷たい空気を吸うことにより、気管支が収縮し喘息発作の引き金となります。鼻呼吸が大事です。

③ 「う」はうつ病などの心の病気
 うつ病など心の病気、パニック障害や倦怠感、慢性疲労症候群なども含まれます。
 浅く速い呼吸は交感神経を緊張させ、深くゆっくりとした呼吸は副交感神経の刺激となります。
 口呼吸は浅く速い呼吸になり、鼻呼吸は深くゆっくりとした呼吸になることが分かっています。
 鼻呼吸は精神安定につながります。

④ 「べ」べんぴなどのお腹の病気
 便秘などお腹の病気、過敏性腸症候群(IBS)、潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性腸疾患(IBD)です。
 便秘が気になる方は、「い~べ~体操」だけを5分間続けると良いです。それだけで翌日「スッキリ」となるそうです。大便が良くなれば、痔もよくなることがあります。
 僕は、「い~べ~体操」を5分間やり、24時間以降に大便が出ました。

5.  噛む力と健康長寿の関係
 噛む力は、「食べ物を小さくする力」ではなく、栄養・筋力・脳機能・生活習慣病予防にまで影響するそうです。
 高齢者は、知らず知らずのうちに噛む力が低下していきますので、フレイル・サルコペニア・認知機能低下・要介護リスク上昇になる傾向があります。
 噛む力と健康長寿の関係を調べて見ました。

5.1. 噛む力と栄養の摂取の関係
 噛む力が弱くなると、硬い食品(野菜・肉・魚・海藻・ナッツなど)を避け、柔らかい炭水化物中心の食事に偏りやすくなります。その結果として次のことが起こります。
① 炭水化物過多 → 肥満・動脈硬化リスク上昇
② たんぱく質不足 → 筋力低下(サルコペニア)
③ ビタミン・ミネラル不足 → 免疫低下・代謝低下
④ 食物繊維不足 → 便秘・血糖コントロール悪化

5.2. 噛む力と脳機能・認知症の関係
① 噛む力が低下すると、脳血流が弱くなり、神経伝達物質アセチルコリンの分泌も弱くなるので脳機能が低下します。
② 噛む力が低下すると、認知機能の低下が早まります。

5.3. 噛む力と身体機能の関係
 噛む力が弱くなると、歯周病になり、歩行速度が低下し、転倒する危険が増えます。

5.4. 歯の本数・口腔機能と健康寿命の関係
 厚生労働省は「8020運動」を進めています。80歳になっても、歯の数が20本以上あることです。
 歯の本数は健康寿命と強く関連しています。
① 歯の数が少ない → 咀嚼能力の低下 → 栄養不足・フレイル
② 不足した歯を入れ歯やインプラントで補う→咀嚼能力の回復→健康状態の改善

  • 神明六木遊歩道の途中にある水車・広場