26-3 四行詩

1. 日本の定型詩
 日本の定型詩は、仮名の音数と行数が決まっています。
 和歌は五七五七七で、合計三十一文字(みそひともじ)です。
 和歌の内容は個人の感情表現に優れています。1200年ほど前に書かれた万葉集は、500年間ほどの和歌が4500ほど収められています。
 今年(2026年)も1月13日に皇居で「歌会始の儀」が行われ、和歌のお題は「明」です。

 次に俳句があります。俳句は、五七五で、合計十七文字です。俳句は季語を入れ、江戸時代から始まりました。

 その次に、川柳があります。川柳は俳句の文字数を基本として、季語を入れず、ユーモアのある表現が特徴です。

 和歌は五七五七七という五行詩であり、俳句・川柳は五七五の三行詩とも言えます。
 その中間の四行詩がないのは不思議です。

2. 日本における四行詩とは
 日本における四行詩は、文字数が定型、自由があります。
 単独で存在するものと、詩集、歌詞や文章の中にもあります。

2.1. 漢詩の漢詩絶句の例(定型詩)
・ 西郷隆盛の「偶感」
 幾たびか辛酸を経て、志始めて堅(かた)し
 丈夫玉砕(ぎょくさい)するも、甎全(せんぜん)を恥(は)ず
 我が家の遺法、人知るや否(いな)や
 児孫(じそん)の為(ため)に、美田(びでん)を買わず
【説明】
 丈夫玉砕(ぎょくさい):自分は大義のために死ぬ
 甎全(せんぜん)を恥(は)ず:瓦のように無駄に長生きすることを恥じる
 遺法とは、子孫への家訓
 美田を買わず:財産を残さない

2.2. 詩集の例
・ 島崎藤村の詩集『若菜集』の中にある「初恋」の第一節
 まだあげ初(そ)めし前髪(まえがみ)の
 林檎(りんご)のもとに見えしとき
 前にさしたる花櫛(はなぐし)の
 花ある君と思ひけり

2.3. 歌詞の例
・ 武島羽衣の歌詞「花」の第一節
 春のうららの 隅田川(すみだがわ)
 のぼりくだりの 船人(ふなびと)が
 櫂(かい)のしずくも 花と散る
 ながめを何に たとうべき

2.4. 小説の例
・ 夏目漱石の小説『草枕』の冒頭2行目からの一節
 智に働けば角が立つ。
 情に棹させば流される。
 意地を通せば窮屈だ。
 とかくに人の世は住みにくい。

2.5. 作者不詳の四行詩の例
① 三行詩を四行詩に置き換える
 立てば芍薬(しゃくやく)
 座れば牡丹(ぼたん)
 歩く姿は
 百合(ゆり)の花
【意味①】女性の立ち居振る舞いが美しい
 立てば芍薬(しゃくやく): 華麗な芍薬の花のように、背筋が伸びたすらりとした立ち姿。
 座れば牡丹(ぼたん):牡丹は大輪の花が咲き、華やかさから「花の王様」と呼ばれ、座る姿が美しい。
 歩く姿は百合(ゆり)の花: 風を受けて揺れる百合の花のように、優雅に歩く様子。
【意味②】体調や気分を調整する漢方薬の宣伝文
 立つは「気がたかぶる」ので落ち着けるのには、芍薬がよい。
 座ると足がしびれ血行不良なるので、牡丹がよい。
 きちんと歩けないのは、心身の不調からで百合がよい。

② 漢詩の起承転結の四行詩
 京の三条の糸屋の娘
 姉は十八妹は十五
 諸国大名は弓矢で殺す
 糸屋の娘は目で殺す

3. 自作の四行詩
① 小学生の出来事
・ 黒板に大きく「櫻」という字を書き、女の先生なので怒られ、立たされました。
 櫻という字は
 何と読むのか
 二貝の女は (二階の女は)
 木がへんだ (気が変だ)
 

② 最近の心境、日々の感謝
 生かされていることに感謝
 動けることに感謝
 明るく楽しく暮らせ
 日々新たな気持ちで生きるぞー