自分は、生まれも育ちも墨田区なので、隅田川には縁が深いです。
今回は、隅田川について考えて見ました。
1. 隅田川の思い出話
父の話。戦前のことで、多分昭和の初めの頃か?
当時、両国橋下流の大川の水がきれいで、泳げたそうです。
父と仲間達は、この大川に船を出して、夕涼みをし、釣った魚を料理してもらい食べる、時には音曲もあったようで、優雅な時を過ごしたそうです。
自分の思い出は、子供の頃、住んでいた所から隅田川まで歩けました。
隅田川の水は濁って、魚なんか居ません。
ある時、隅田川の両国橋の近くで、異臭を感じました。メタンガスなどが出ていたそうです。新聞に大きく掲載されました。
役所は、川底の異臭の元を除去し、水流を増やし、下水を川に流さない処置をとりました。そうこうしているうちに、悪臭が消えました。
まだ、隅田川で泳げる状態になっていません。
2. 隅田川の成り立ち
先ず、隅田川の成り立ちを調べました。
隅田川以外に、古隅田川、旧古隅田川というものがいくつかあります。
埼玉県に古隅田川や旧古隅田川、東京都足立区の東南部に荒川から中川の間を蛇行して流れた古隅田川があります。今の隅田川と違います。
隅田川の成り立ちは、自然の地形変化と人為的な治水工事が複雑に絡み合った歴史の中で形づくられたようです。その概要をまとめてみます。
2.1. 隅田川の自然の成り立ち(古代〜中世)
隅田川は、かつて旧利根川や旧入間川が合流して河道となりました。この河道は、現在の水神大橋あたりで、東京湾へ注いでいたそうです。
この河道は、武蔵国(豊島郡)と下総国(葛飾郡)の国境にもなっていました。
2.2. 江戸時代の治水事業
① 利根川東遷事業
徳川家康が江戸に入府した後、江戸の町を洪水から守り、水運を発展させるために大規模な治水事業が行われました。その中でも「利根川東遷事業」は特に重要です。もともと東京湾に注いでいた利根川の流れを東に変え、太平洋に流れるようにしました。
② 荒川の西遷
利根川東遷事業と並行して、荒川の流れも整備されました。これにより、荒川は利根川水系から切り離され、入間川と接続され、その下流部が「隅田川」と呼ばれるようになりました。この時代、隅田川は江戸の主要な水運ルートとして、また人々の憩いの場として発展しました。
2.3. 荒川放水路の開削(明治末期〜昭和初期)
洪水対策として、荒川を人工的に拡幅し、強制的に立ち退きさせ、岩淵水門から東京湾まで荒川放水路を整備しました。昭和40年に河川法により荒川放水路から荒川に名前を換えました。
2.4. 隅田川の定義(昭和40年)
昭和初期に荒川放水路が完成し、これが荒川の本流と定められました。
それまで荒川の本流だった、北区の岩淵水門から下流の旧河道が「隅田川」として正式に定められました。
2.5. 現在の隅田川
現在の隅田川は、荒川水系の一級河川として、東京都北区の岩淵水門から東南に蛇行してながれ、水神大橋の手前で南に向きを変え、東京湾に注いでいます。
その間、西側から新河岸川、石神井川、神田川、日本橋川、亀島川が合流しています。
川の両岸には、7つの区(北区、足立区、荒川区、墨田区、台東区、中央区、江東区)があります。
隅田川の長さは、23.5kmあります。
3. 隅田川の行事、テラス、遊覧船
3.1. 隅田川の行事
① 隅田川の花見
隅田川の花見は、江戸時代、八代将軍・徳川吉宗は、享保2年(1717年)から庶民の娯楽のために、隅田川の東側(現在の墨田区の隅田公園)に堤防(墨堤)を整備し、大規模な桜を植えたことが始まりました。北は水神大橋の隅田川公園から、南は旧水戸徳川邸(現在の墨田区立隅田公園)・北十間川までの2kmほどです。
なお、言問団子の近くに墨堤植桜の碑があります。これは桜の由来が書かれています。明治20年(1887年)に建てられ、その書は榎本武揚が書きました。
② 隅田川の花火
徳川吉宗が、享保18年(1733年)に、前年の大飢饉や悪病で亡くなった人を弔うために、悪疫退散を願って水神祭(現在の隅田川神社で)が行われました。
この水神祭の時に両国橋周辺で花火大会が開催されました。これは、日本で初めての花火大会です。
現在の隅田川花火大会は、 開催日が毎年7月最終土曜日、場所は第1会場が桜橋下流~言問橋上流、第2会場が 駒形橋下流~厩橋上流で行われています。
花火の数は約2万発で、東京の夏の風物詩として親しまれています。
③ 隅田川とうろう流し
隅田川とうろう流しは、お盆の時期(8月の中頃)に隅田川で行われる行事です。
この行事は、関東大震災や東京大空襲などで亡くなった方々の霊を慰めるために、戦後の昭和21年(1946年)に始まりました。
平和への祈りを込めて、台東区側と墨田区側の両岸から、美しい灯籠が川面を流れていきます。
3.2. 隅田川テラス
これは、隅田川の両岸に整備された遊歩道で、水辺の景色を楽しみながら散策などができます。場所によって、整備の状況が異なります。
3.3. 隅田川の遊覧船
① 浅草(吾妻橋のたもと)からの遊覧
浅草から、浜離宮・日の出桟橋・豊洲行きを運航しています。
船内アナウンスが、橋、景観などを説明します。川から東京の姿を眺めます。
② 浅草・二天門船着き場からの遊覧
浅草からお台場海浜公園行きが運行されます。
③ 屋形船
屋形船は、隅田川を遊覧しながら、食事やお酒を楽しめる舟遊びです。
特に、春の桜や夏の隅田川花火大会の時期は、屋形船からの景色が人気を集めます。
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25-26 隅田川の歴史②