25-24 蝸牛角上の争い

1. 蝸牛角上の争い
 これの文句は、2300年ほど前の中国の古典『荘子(そうじ)』に出ている寓話です。
 「蝸牛角上の争い」は、蝸牛(かぎゅう)とはカタツムリ、「角上(かくじょう)」とはカタツムリの角の上のことで、そこで戦争することです。その意味は、非常に小さな範囲を奪い合うということになります。

 この寓話の内容を記します。
 カタツムリの左の角に触(しょく)という国があり、カタツムリの右の角に蛮(ばん)という国がありました。この二つの国が、相手の領地を取ろうと戦ったのです。
 双方の国に、死者が数万、敗北して兵士は逃走し十五日かけて帰国したという話です。

2.  原爆と戦争
① 原爆と戦争の平和式典
 毎年、8月になりますと、6日には原爆投下された広島で原爆死没者慰霊式・平和祈念式、9日には原爆投下された長崎で原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が行われます。
 さらに、15日には東京の日本武道館で政府主催の全国戦没者追悼式が行われ、正午から1分間の黙とうをします。この黙とうは、自宅でも、職場でもできます。

② 東京大空襲 → ノーモア・ウォー
 自分は、東京大空襲に遭遇しましたが、家族全員無事でした。
 東京大空襲は、1945年(昭和20年)3月9日の深夜から10日の未明にかけて行われました。
 自分は、その時3.5歳で、下町の総武線の錦糸町駅近くに住んでいました。3月9日の夕方、家族5人が駅の南側にある防空壕にいたところ、映画館の人から映画館に来るように言われ、映画館の中に入りした。
 夜中に、外で何かが爆発する音が数え切れないほど聞こえてきました。
 朝、映画館の中にあるトイレに行ったら、壁が焼け焦げて、何か嫌な臭いがしたのを覚えています。
 父と外に出たら、周りの家屋は消滅し、真っ黒になった人の死体が見渡す限り横たわっていたのです。その中で、手や体が少し動く人がいましたが、すぐに動きがとまりました。恐ろしい光景です。

③ 原爆から核弾頭へ
 昨年(2024年)日本被団協が核兵器廃絶訴え、ノーベル平和賞を受賞しました。
 被団協はノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキを訴えています。
 ところが、世の中の動きは、これと逆行しています。


 2025年8月7日の日経新聞の朝刊に、核弾頭の数が掲載されていました。使える状態の核弾頭数を多い国順に示します。
 ロシアが4309、米国3700、中国600、フランス290、英国225,インド180、パキスタン170、イスラエル90、北朝鮮50の9カ国です。合計9614個となります。今後、この数が増えていきます。
 現在の核弾頭の破壊力は、80年前の広島・長崎の原爆よりも1万倍以上あるそうです。
 80年前の原爆に換算すると、
 (1万個の核弾頭)✕(1万倍の能力)=1億個の能力
 これらの核弾頭が一度に爆発したら、死の灰で地球全体が覆われ、人類が滅亡することでしょう。

④ 日本の戦争
 日本のアジア・太平洋戦争は、昭和16年(1941年)12月8日、日本の海軍がアメリカのハワイ島の真珠湾を急襲したことから米国との戦争が始まりました。
 海軍の山本五十六は、近衛文麿首相に米国と戦争しても、一年しか持たないと報告した。この意味を理解できなかったようです。
 その後、東條英機首相に代わり、真珠湾攻撃となりました。

 山本は次の名言を残しています。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」

 一方、日本の軍隊は、中国・東南アジア、南方の太平洋の島々まで、非常に広い範囲に戦火を広めました。戦死者の数よりも、病気や餓えで死んだ人の数が多いとも云われています。
 これは、軍隊が、食料・兵器などを現地で調達し、サプライチェーンを無視したことと、日本における軍本部と戦地との通信網が不十分で、戦地の軍をマネージメントする機能が有効に発揮できないこともあったのでしょう。

⑤ 現在の戦争の話
 現在でも戦争が起きています。ロシアがウクライナを攻め、イスラエルが「ハマスが占有しているガザ」を完全占領しようと戦っています。
 仮に、宇宙の神様がいたとします。この神様から見たら、ちっぽけな地球で「蝸牛角上の争い」をしていると見えるでしょうかね。

⑥ 関税戦争
 ある国で今年就任した大統領が、他国に強制的に関税を果たしています。
 この国は関税で潤いますが、そのうち物価高で国民が生活難に陥ってしまいそうです。